晴れ
バリに9時に到着!朝のカプチーノはイタリアのバールで飲みたいし、ゆっくりしてたら午前中が終わっちゃうってば、と言ってうちのだんなさんを急かしていたら、イタリアはまだ8時というのを忘れているのに気がついた。

バイクで旧市街へ行って、コーヒーを飲み、そのまま徒歩で旧市街を散歩。イタリアも天気が良くて、朝から心地の良い天気。前回よく見れなかった、サン・サビーノ大聖堂へ。ファサードも教会の中も大理石の白だけを使っていて、清々しい雰囲気が気に入った。祭壇の後ろと地下のクリプトにかすかにだけ古いフレスコ画の断片があったり、古代ローマ時代の神秘的でコミカルな彫り物も、かけらのように部分部分だけ残っていたりする。地下のクリプタに降りていくと、ロマネスクの柱頭などの装飾があるべきところが、18世紀に足されたカラフルな金箔入りの装飾で天井まで覆われていてちょっとぎょっとした。ガイドブックによると、教会の本当の姿を取り戻す為、第一次と第二次の世界大戦の合間の大きな修復で教会のたくさんの装飾が取り外されたとのこと。それがなかったら、教会中ゴテゴテした装飾で一杯だったのかもしれない。

バリの旧市街は生活の匂いを感じる。洗濯物がたくさん干されているので、洗剤の良い香りが漂ったり、窓から地元の人たちが顔を出したりしていて、観光客のこっちを見物していたりする。道で新鮮な魚やムール貝を売っているおじさんを何人も見かけた。近くに大きな魚市場もあって、バリは魚の町でもある。

要塞へ向かってまっすぐ通る、一本の小道へ偶然入ると、いかにも"イタリアのお母ちゃん"という感じのふくよかなおばさま達が、家ごとに机を玄関の近くに出して、手作りのパスタ(オレッキエッティと呼ばれるもの。この地方の伝統料理に使われる。)を売っている。それも右左、列になって、どの家もそれを商売にしているらしい。帰りに買いに寄ろうと思って、そのうちの一軒で、何時まで買いにこれますか?と聞いたら、「夜までずーっといるわよ、ここに住んでるんだから」と後ろの自分の家を指差して、「だからお昼時でも構わないわよ。」ということだった。その通りでは誰かがもう料理を始めているのか、パスタをゆでているのか、とても懐かしいイタリアのお料理の香りがなんとなく漂っていて、ああこの匂い、トスカーナの田舎とおんなじだなあと、急に住んでいた村が恋しくなる。

バリは大きな街で、南部の産業都市。新市街はまたとても発展していて、イタリアのブランドの店が並び、とにかくお店の数がすごい。とりあえず入ったボッテーガ・ベネタでは、理由は聞かなかったけれど、なぜか全品75%引き!すごく気に入ったブーツが一点のみで570ユーロが180ユーロという!残念ながら、どれも大きすぎるか小さすぎるかだったけれど、サイズがあれば買っていたと思う。
途中またコーヒーを飲んだ新市街のバールは地元のお客さんで繁盛していて、大忙し。実際カプチーノもとてもおいしい。2年くらい前から各地域で配られるようになった、無料配布の新聞があったので手に取ると、見出しから恐ろしい。冷血にも、銃で一家全員(夫婦と子ども二人)皆殺し!(カラブリアで。)とある。さすがイタリア南部だなぁと怖いニュースは置いておいて、バリの地元民を見学。バリの方言というのがまだよくわからない。歩いている人たちなどもとくに目立つ方言をしゃべっていなくて、南部といってもナポリやカンポバッソなどとは感じの違う人たち。街も治安の悪さというのを余り感じない。
お昼にはバイクで、郊外にあるイーペルコープにも出かけた。ここでは、ギリシャで高い、石鹸類、パスタ、エスプレッソ用コーヒー、などを買い溜め。イタリア人は物価が高くなったと今嘆いているけれど、ギリシャに居る私には全てが安くて、シャンプーなどもイタリアのメーカーだとギリシャの半額以下だし、カートが一杯になるくらい大量に買って、全部が丁度100ユーロしかしなかった。

港に戻ると、遠くからも目立つコスタクルーズの客船が隣に停泊している!乗ってきた船が小さく見えるくらい、とにかく大きいボリュームが迫力。ベランダつきのキャビンがたくさん並んでいて、シーズンになったばかりだと思うんだけれど、結構キャビンはどれも埋まっているようだ。

24ヶ月熟成と30ヶ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノや、プロシュット・クルード、プロシュット・コット、ブッファラのモッツァレッラ(これはイタリアでも高いもので一袋250gが3ユーロ以上したけれど、価値がある!)やプーリア地方でしか売っていないブラータというモッツァレッラをより濃厚にしたようなちょっとこってりした白いチーズ、なんかも買っておいたので、夜、船の中でパニーノにしてだんなさんと味見。余りにもおいしくて、歩きまくった疲れも忘れて幸せな気分になる。
ワインを買い損ねたので、だんなさんに次回買ってきてもらおうと、プーリアの食べ物ガイドブックを読んでいたら、プーリアの伝統は、最初に住んだ古代ギリシャ人と、後にアッピア街道を下ってきた古代ローマ人が混じって出来上がったということが書かれている。ワインも普段一番飲まれているのは、赤でも白でもなく、ロゼなんだそう。そういえばパトラスのあるアカイア地方でも普通に飲むのはロゼで、これはもしかすると古代ギリシャからの伝統なんだろうかと考えた。